コンタクトレンズ(21)
固定観念というものはない
長谷川 泉
pp.59
発行日 1961年1月10日
Published Date 1961/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202257
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チヤタレー夫人はわいせつではない—D・H・ロレンスの「チヤタレー夫人の恋人」をめぐる本国イギリスの裁判は,本書を無削除で出版することを許した.無削除版の「チヤタレー夫人の恋人」はペンギン・ブックス社から,まず20万部出る.ペンギン・ブツクス社は,無削除の「チヤタレー夫人の恋人」の完本を印刷して倉庫に積んであり,その上での裁判であつたからだ.
削除本は,ほんものの「チヤタレー夫人の恋人」ではない.そのような信念があるから,無削除の完本で世に送り出すか,全くの絶版か,そのような決意のもとに出版社はチヤタレー裁判に臨んだのである.かつて,わいせつの判定をくだされて公然と世に出ることができなかつた「チヤタレー夫人の恋人」は,大手をふつて世に送り出されることになつた.
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