特集 全寮制度を再検討する—通学制実施の中から
—岡山県立高等看護学校—通学制の長所と短所
合田 富美子
1
1岡山県立高等看護学校
pp.4-6
発行日 1963年11月1日
Published Date 1963/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908779
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はじめに
看護学校における通学制について,テーマをいただいたが,まだ発足して1年あまりの本校として,その可否,問題点などを議論するには,いささか時期早尚の感もまぬがれないが,通学生の実態と,学生自身が考えていることなどを中心に,その問題点の2,3を拾ってみたいと思う。
本校は,最近,とみに声の高くなっている看護婦不足の問題に対して,岡山県が,その対策の一環として,昭和37年4月に,三年制看護学校,定員50名(但し現在は第1期17名,第2期28名)で発足した学校であり,その特徴の一つとして,通学制を実施している.通学制をとるにあたり,従来の全寮制についても,全寮制の意義.その長所なども検討した。なるほど,看護の職にたずさわるものとして,相当強力な生活指導による陶冶が必要であること,病院実習においては,体力的に相当な)重労働であり,また時間的にも他の学校に比べると,ずいぶん余裕がない,特に夜勤実習の場合の通学は困難であるなどが考えられる。一方,寮生活の陥りやすい弊害,いわゆる世事にうとくなりがちであるとか,常に他人と一緒であることによる重圧感などを考えると,全寮制をとるか,通学制をとるかの論議は,相半ばするわけである。結局通学できるものは,自宅から通い,通学不能な者は寮に収容するというごく自然の形でやってゆけないものだろうかということになり,本校においては,通学制をとり入れ,実施に踏み切ることにした。
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