Guide for Teachers 小特集・私は結核科看護法をこう教えている
患者教育
足達 さだ子
1
1日赤中央病院病棟
pp.5-8
発行日 1962年8月1日
Published Date 1962/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908761
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目的と必要性
伝染病であり慢性疾患である結核はその療養に長期間を要し,患者は社会から隔離された特殊の環境の中に置かれている。しかも一般に自覚症状に乏しいものが多く,結核に対する知識も乏しい。たとえテレビやラジオ,新聞,雑誌などによりいろいろな知識を得ていたとしてもそれは一人よがりのものであったり,雑然としていて整理されたものでないことが多く,他人の言葉にすぐ動揺し易い不安定な心理状態にあるものである。また化学療法,外科療法の進歩は,ある面では患者に安易な考え方を起こさせたり,その反面それらの療法が有効でなくなった患者は,療養期間が長びくほど医学や人生に対して失望し,劣等感を抱き,怠慢になることも多い。また社会復帰に対して非常なあせりをみせてくる者もみられる。われわれ看護にあたる者はこれらの患者を勇気づけ,結核に対して正しい知識を与え,正しい療養生活の必要性を説き,生活指導を行ない,より有意義な生活を送らせ,更生の日の一日も早く訪れるよう努力してあげることこそ,結核看護の中でも最も大切なことであると思う。
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