NURSING EYE
いつでも,どこでも,だれにでも—車中での分娩を通して
善塔 みや子
1
1県立松江高等看護学院
pp.130-133
発行日 1989年3月25日
Published Date 1989/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908634
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車中での出産
私は,ある日旅行に行くため特急列車に乗った.その日は乗客も少なく,私が乗っている車両には,数人しかいなかった.本を読んでいたが,眠くなりウトウトしていたら,「お客様の中に,お医者さんか,助産婦さん,看護婦さんがいらっしゃいましたら至急ご連絡ください」と車内放送が立て続けに3回あった.
その声の調子に,せっぱつまった,ただならぬものを感じた.「助産婦」という声に,もしかしたらお産に関係することではないだろうか,そうに違いない,行こう,すぐに行かなくては…….旅行鞄を持って立ち上がったが,「でも,私は保健助産学科を卒業して6年間1度も分娩介助していない,自信がない.私が介助してもし何かあったらどうしよう」という不安から,再び座席に腰を降ろした.
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