特集 看護の大学教育化
高学歴看護職の需給動向の分析—看護系大学・短大生の就職および待遇の推移
守屋 研二
1
1自治医科大学看護短期大学
pp.593-608
発行日 1988年10月25日
Published Date 1988/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908555
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目的
医療状況を改善するための有力な手段の1つは,医療を担う人材の十二分な量的確保と,その質的向上にある.今後の人的医療資源の状況を見通そうとする際には,教育機関から医療分野に供給される人材に,量・質の両面で,現在いかなる変化が起こりつつあるかを明らかにする必要がある,この稿では,その変化の契機の1つを,看護職の高学歴化に見ることとした.とくに筆者が関心を寄せている地域医療計画の推進にとっても,看護分野における能力ベースの高い人的医療資源の供給増と,資源全体に占めるその比率の上昇は,不可欠の要件である.
この稿の目的は,看護系大学・3年制短大による人材供給の動向と,それに対する需要動向,言い換えれば看護系大学・短大生の卒業の就職動向の分析を通じて,高学歴看護職をめぐる需要動向の問題点を探ることにある.その際,考察の対象を新卒に限定した上で,高学歴看護職を,単科大学・学部・学科を含む看護系大学,あるいは看護系3年制短大を卒業し,看護婦(士)の免許を取得後,看護分野に就職した者とした.このように定義した高学歴看護職の供給から需要にいたるプロセスをモデル化すると,図1のようになろう.
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