教育学入門講座 教育・学習のしくみとはたらき・7
在学関係について
森部 英生
1
1群馬大学
pp.133-139
発行日 1986年1月25日
Published Date 1986/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908206
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学校の利用関係
公共施設
‘よく来たな.まぁ座れや’とは,街の公衆便所でよく見かける落書きである.中には,自らの煩悩を切々と訴える一文や,普通人の正常な性的羞恥心を害する1)類のデッサンがあったりもする.庶民の哀感漂うこの公衆便所,地方自治法では‘共同便所’と呼ばれ,病院・保健所などと並ぶ‘保健衛生,社会福祉等に関する施設’であり(第2条第3項第6号),公共用に供する公有の行政財産とも表現され(第238条第2項.第3項),さらに学問上は,公物(öffentliche Sachen)の一種たる公共用物といわれる.公衆便所も法律的・学問的に性格づけていくと,何やらいかめしくて近寄り難いものとなる.
国公立の学校も公物である.それぞれ国有・公有の行政財産である点では公衆便所と共通性を持つが,公衆便所が一般公衆の直接の使用に供せられる施設であるのに対し,学校はもっぱら国または公共団体自身の用に供せられるものである点で,両者は性質を異にする.同じ公物でも,学校は公用物と称せられるのである.
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