連載 人間関係論 より豊かな共生を・8
人間関係の諸相―Ⅲ 親子関係
服部 祥子
1
1大阪人間科学大学
pp.224-227
発行日 2002年3月25日
Published Date 2002/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903166
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親子関係の特異性―血縁ということ
英語で“I was born”と表現するように,この世に生まれてくることは全く受け身のできごとであり,親も子も主体的に選択する自由も権利もない.つまり子どもは自分が生まれるべきか否かを考えたり,決めたりすることはできないし,自分を生む親を誰にするかも選べない.他方,親も自分の望みどおりの子どもを選んで獲得することはできない.親であり子であるということは,いわば根源的な受動性であり,宿命ともいうべきものである.
それゆえ,親,とくに母親が自分の子どもであるというだけの理由で一切の条件を付与せずわが子を出産直後より胸に抱き,授乳をはじめとする手間ひまかかる育児に,愛情をもって取り組むことは,“母性愛”という言葉だけでは納得できない不思議な思いすらする.
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