NURSING EYE
地域看護教育の中での老人看護の重要性—訪問看護の制度化をより実りあるものに
野川 とも江
1
1埼玉県立衛生短期大学看護学科
pp.67-70
発行日 1984年2月25日
Published Date 1984/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907930
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静かに死なせてあげたほうがよいか
初めての訪問であったが,期せずして介護をしている娘から重大な相談を受けた.78歳になる母親は3年前に2年間有効のペースメーカーを装着した.脈拍が,2-3日前から急に下がってきたのでどうしようかしらと考えている.最近,ほとんど食べないので手術する(再装着を意味する)だけの体力がないのではないか……と.
体力がないことを心配して手術をためらっているというが,それだけではないというニュアンスが含まれていた.よくよくうかがってみると,夫が‘おまえが介護が大変だから静かに死なせてあげたほうがよいのではないか’と再装着に反対しているため,実娘として迷っている.体力がないのだから再装着できなくてもしかたがないと自分を説得するために葛藤し,その適否を看護者に判断してほしかったのである.
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