21世紀の看護を考えるルポルタージュ ホスピスへの遠い道—マザー・メアリー・エイケンヘッドの生涯・4
アイルランドから見える世界の広がり
岡村 昭彦
pp.424-431
発行日 1983年7月25日
Published Date 1983/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907843
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1968:15年前のアイルランド—第1日目の日記から
早朝にロンドンを発ったエア・リンガスの一番機で,私が初めてアイルランドの土を踏んだのは,1968年の元旦であった.そのとき,ダブリンの空港ビルはまだ新築前で,かわいいローカル線の空港のような建物だった.飛行機が着陸するとき,群をなした野兎が滑走路わきの草むらを走り抜けるのが,機内の窓から見えた.
北アイルランドでも,今日のような大規模の衝突もなく,IRAの爆弾攻撃もまだ始まっていなかった.手荷物のセキュリティ・チェックもなく,乗客は自由にイギリスとアイルランドの間を往復していた.私は,遠い東の国からやってきた旅人であった.その朝のことを,私は“教育評論”の1963年1月号から3月号まで連載した‘核時代に平和を索めて’の冒頭に,こう書き残している.
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