特集 一般教育科目の再検討
総合大学における一般教育と看護教育
木場 冨喜
1
1熊本大学教育学部
pp.588-596
発行日 1979年10月25日
Published Date 1979/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907371
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はじめに
歴史的にみて,看護教育の出発点をどこにおくか,ということについては,いろいろの見方があってもいいと考えられる.いちおう看護を専門とする職業に結びつくものとして,明治7年の産婆教授所の設立を起点とするならば,現在まで約103年を経過している.これは,決しておろそかにできる年月ではない.看護教育はこれまでにも,多くの人たちによって,さまざまな角度から論じられてきた.長い間の徒弟的色彩の濃い教育であったことから,社会的評価をはじめとして,主体性の欠如,あるいは教育制度や教育内容などに多くの問題をもつことになった.
昭和23年の保助看法の制定は,日本の看護史上新しい時代を開くことになったが,来るべき時代への要求と期待は大きいものがあった.それは‘看護という職業が,近代社会において,専門的職業としての確固たる地盤をきづきあげるためには,看護の支えとなる理念の確立と,ナースの新しい人間像の形成が必要である’1)という言葉によって代表されているようである.なかでも看護教育における一般教育科目の必要性については,‘一般教養科目をふやし,短大なみのレベルに内容を充実してほしい’2)という看護学生からの要望をはじめとして,より深い洞察力,科学的なものの考え方,あるいは人間としての威厳と責任を,といったものなどが多くみられた.
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