私の発言
卒後教育・オリエンテーションに問われるもの
富士田 夏子
1
1市立札幌病院
pp.329-333
発行日 1979年6月25日
Published Date 1979/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907338
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はじめに
私は過去に看護教育の仕事をしていたころ,卒業生には優秀な人もいるので,彼女らは新しい職場で更に能力を啓発され,望ましい看護婦として成長してゆくものと期待を持っていた.しかし,機会あって小児の感染症50ベッド,看護婦15人の看護単位で仕事をすることになり,そこで初めて体験したのは‘看護婦が意欲を持って働くにはどうすればいいか’という戸惑いであった.学院にいるころに考えていたことと臨床の現実とは,このようにかなり違っていたのである.
その時代の‘よりよい看護’‘専門職’などと抽象的な言葉を並べてみても,ドロドロとした臨床では泡をつかむようで,手ごたえは得られない.これは卒業後,仕事を体で覚えた後はその日その日を安易に過ごすことが身についたためではないかと思われる.そうならないためには,オリエンテーションを受けた後,学生時代の延長として中断することなく卒後教育を始め,職業の某礎が作られてゆかなければならないと思う.
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