私の発言
看護教育の使命—理論と実践をめぐる問題
岸 信行
1
1佼成高等看護学院
pp.257-261
発行日 1976年5月25日
Published Date 1976/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906983
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はじめに
私は哲学科の出身であり,教育学を専政したことから,現在ある高等看護学院において,‘看護を支える人間学—人間関係の哲学的考察’と題する講義を受け持っている.毎回,講義内容をプリントにして学生に渡し,それをもとにして講義を進める方法をとっている.
どこの学校でも主として‘人間の生きる意味’とか,‘その生き方’などを講義の中心にしているためか,自分の生き方について相談に来る学生が多い.その内容はさまざまだけれど,だいたい共通しているのは,‘自分は看護婦としてやっていけるかどうか不安だ’‘看護という職業にいや気がさしてきた’‘病院実習にはあまり多くのことがありすぎて,どうしていいか分からなくなってしまう’というようなものが多いようである.結局,‘自分は何をよりどころとして看護婦になるのかが,はっきりしなくなってきた’という悩みが,彼らの根底にあるように思う.そうした悩みは,入学の時の看護婦志望の動機がはっきりしていなかったことにもよるであろう.ぼんやりもっていた,自分の‘看護’に対するイメージと現行の看護教育とのギャップに悩んでいる学生が多いようである.
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