保健所のペーヂ
保健所の教育機關としての使命
市川 行正
1
1千葉縣松戸保健所
pp.319-321
発行日 1947年1月25日
Published Date 1947/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200103
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保健所の使命は保健所法第1條に言ふ處の住民の健康を増進し,體位を向上せしむるに必要なる指導を行ふと規定せられて居るやうにあくまでも指導機關としての活動にある。然し乍ら,指導を充分に徹底せしむるには何よりも先づ教育が必要であると云ふことが痛感される。自分は農村を對稱として何よりも教育機關としての保健所の重要性を經驗してゐる。結核豫防と云ひ,乳幼兒死亡率の低下と云ひ,傳染病豫防と云ふも何れも個人指導と同時に衞生教育が行はれなければ農村に於る衞生思想の普及は效果があがらない。然らは教育は如何にすべきや。農村に於ては國民學校であり靑年學校であると思ふ。國民學校は,農村に於る唯一の集會場であり社交場であるが故に大衆を教育する最も適切なる場所である。此處に勤務する國民學校の先生達は,衞生教育を行ふに最も適當なる教育家である。凡ゆる機會に於いて,衞生知識の乏しい農村の人達に對して衞生思想を普及せしむるに充分な知識を先づ先生達に與へる必要がある。又た將來母親たるべき國民學校高學年兒童に育兒知識を與へるための教育は勿論,農村に於ける正しい結核豫防知識を與へる事の必要性は我々充分に感じてゐる處であり,結核豫防思想は國民學校の中にこそ與へらるべきであるとは實際指導に當つて痛感される處である。國民學校に於ける先生達に對し衞生教育が行はれ,次いで兒童達に對して豫防思想の普及が行はれなければならぬ。
第二に重要なるは役場の衞生主任に對する充分なる教育である。
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