特集 世界の看護教育制度
スエーデン王国
Hornmark 紀子
1
1スエーデンセンター・金上クリニック
pp.653-662
発行日 1974年11月25日
Published Date 1974/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906819
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Ⅰ.概況
職業を持ち,働くことが女性の自律的な生き方として,真剣に取り組まれ,職業意識が深く根をはっているスエーデン王国(以下スエーデンと略す)においては,ただ単に,目的もなく大学進学あるいは高等教育を目指す者は少ない.専門教育の充実化した,また社会的地位の高いスエーデンの看護婦は,あらゆる点において,すなわち専門職としての業務内容と経済的地位の確立が,西ヨーロッパおよびアメリカのそれに比べて,優れているといえる.それは,看護婦自身が,仕事と家庭の両立は難しいから,両立の条件が整っていれば仕事を続けるというような安易な意識でなく,どうしても仕事を続けたいという,一個の独立した人間として,生きていくための職業意識があり,その努力のたまものであるといえよう.
スエーデンの看護教育の発展は,1867年,現在のスエーデン赤十字社の前身である団体により設立されたのが始まりであり,私立の看護学校が創設され,イギリスの聖トマス病院付属のナイチンゲール看護学校へ留学したスエーデン看護婦によって創設されたのである.その後,市および州議会が看護教育の必要性に気付き,関心を寄せるようになり,統一されぬまま多くの看護学校が設立されるようになった.
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