教育の眼
自由に学ぶ
佐藤 忠男
pp.479-483
発行日 1973年7月25日
Published Date 1973/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906693
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教育というと,いつも,ほとんど,学校教育のことばかり語られ,論じられるのはどういうわけだろうか.学校教育が話題でなければ,あとは家庭教育のことぐらいである.しかし,人間の一生の学習活動を考えた場合,学校教育も家庭教育もこの一部分にすぎない.
もうひとつ,重要なことを忘れてやしませんか,と言いたい.それは自分で本を読んだり,人と話をしたり,映画やテレビを見たりして行なう学習活動である.学校外の学習というと,すぐ,では独学のことか,などと言われ,独学というのは,学校へ行けなかった人が,しかたなしに自分1人で勉強することだ,というふうに見られる.しかし,それはまちがった観念である.確かに,小学校や中学校で行なうようないちばん基礎的な勉強は,学校で習ったほうが能率的かもしれない.しかし,高校で教えるようなことになると,それは怪しくなる.ほんとうは,人間は,中学校を終えたら,あとは各自,本を読んだり,専門家に弟子入りして教えを請うたりして勉強したほうが,ずっと能率的かもしれないのである.
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