私の提言
このごろ思うこと
鈴木 美恵子
1
1慈恵高等看護学院
pp.353-357
発行日 1973年6月25日
Published Date 1973/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906679
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看護学校を卒業しても,臨床にははいらないで保健婦学校に進学を志望する学生が多く,臨床に来たがらなくて困る,と嘆いている人がいました.確かに,そのような傾向が強くなってきているようです.しかし,学生が進学するということ自体にはなんら問題はありませんし,むしろ喜ばしいことだとさえ言えそうです.ところが,よく話を聞いてみると,そう簡単には片づけられない問題がここにあると言うのです.
ひとつには,保健婦は看護婦よりも,より高級な職業であるという根づよい偏見が,ますます強まってきているということです.よく言われることですが,保健婦の仕事は,あくまでも看護のひとつのバリエーションであって,それは高級とか,低級とかいう比較をすること自体に意味がないはずです.看護婦という専門職業には,その活動の分野が臨床に限定されているわけではなくて,公衆衛生の分野でも,学校教育の分野でも,あるいは産業の分野でも,その他さまざまな分野でその働きが可能なのであって,たとえば,航空機のスチュワーデスも,もともとは看護婦であったくらいなのです.
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