マイ・オピニオン
このごろ思うこと
菅原 ミヱ
1
1磐城共立高等看護学院
pp.353
発行日 1978年4月1日
Published Date 1978/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918363
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昨今,看護における‘気づき’について再確認され,次々と報告が出されている.昨年11月,福島市で開催された東北地区学会の交見室担当で雑用係をしていた時,本誌の編集部の方が,成人第1群の発表者に,発表論文中の‘気づき’のプロセスを誌上掲載したいからまとめてほしいと依頼していた.発表者は真底困った表情をし,とても文章化することはできないと繰り返すばかりである.しかし‘気づき’の場面について答えている様子をみていると,彼女が日ごろ対象ときっちり向かい合い,繊細な気配りをしながら行動しているのが,じかじかと伝わり,プロセスを再確認しながら分析しているのが手にとるように分かるのである.その時,彼女が全身で対象とのかかわりの中で受けとめたものを,だれも同じ思いを味わうことができないものを知りたいという気持ちを抑えることができず,‘小学生の時に書いた作文の形式でよいから順を追って書いてみたらいかがですか.それは,あなただけが受けとめ感じたことかもしれない大切なことなのですから’という言葉を発してしまったのです.もちろんこの言葉が彼女の気持ちを動かし,書くことになったなどとは思わないが,とにもかくにもこのような会話の後に,彼女は引き受けることになったのである.
現在,理論化された援助行為のあり方は,どれをとってみても,そのように援助してもらえたらどんなに不安のない入院生活を送ることができるだろうかということばかりである.
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