教育のひろば
わがために夜の螢さえ
古川 哲史
1
1東京大学
pp.5
発行日 1967年2月1日
Published Date 1967/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905761
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一昨年の夏と,昨年の夏との2回,東大で開かれた文部省の看護学校養成所専任教員講習会に出講して,10時間ばかりづつ「倫理」についてのお話をしたことがある。
その講習会から数ヵ月たって,出張講義のために奥州仙台へ行ったが,知人が東北大病院に入っているはずなのにハッキリその居所がわからなかった。わたくしは講習生の中にこの病院の看護婦さんもいたことを思い出して,さっそく利用することにした。Tさんというひとであったが,突然執務室に会いに行ったので,ケゲンな顔であった。わたくしは「失礼なことをした」と後悔したが,来意を告げると快く承諾して,知人の病室へ案内してもらえた。病人でもないのにこんなに利用さしてもらえるのだから,入院したあかつきには………と勝手な空想にもふけったことであった。
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