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看護倫理への提案—最終回
芝田 不二男
1
1高知女子大学
pp.54-58
発行日 1966年12月1日
Published Date 1966/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905742
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看護における奉仕
私は始めに,看護という職業を,自らの人生を賭けて生きるに価する職業とすることが,看護者の在り方の基本であると言った。しかしそうした努力は,何も看護にだけ限られるわけではない。ある意味では,すべての職業がそうでなければならないといえよう。
けれども,いまの職業生活では,多くのばあいそのことがかなり困難となりつつある。それにもかかわらず,看護者の在り方として,まずそのことを強調しなければならなかったのは,消極的ではあるが,現在の看護もまた,ともすれば生きがいのある職業とは見られていないからであり,そして積極的には,看護というものを,自由な主体的人格としての看護者の行う,積極的な活動であると考えているからであった。そうした看護こそ,実在的に疎外されている患者の,人間における主体性をまもることができるのである。
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