連載 保健指導を科学する・5
保健婦活動の事例をもとにした社会学,社会心理学,臨床心理学的な考察
むずかしい復職と社会の理解
波多野 梗子
1
1東大・医学部保健学科
pp.77-79
発行日 1966年6月10日
Published Date 1966/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203681
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ここに描かれた事例は,結核で入院を必要とする患者が,中小企業で働いている場合,その実現がいかに困難で重大なことかを印象的に描いている.経済的な理由から入院がむずかしいうえ,一度入院すると治癒後同じ職場への復帰が不可能となる場合が少なくない.
中小企業の側にたてば,従業員に1人の病人が出るということは経営上重大事で,その人が入院しているあいだ,その席を保っておき,他の人を代打要員として入れる,または他の従業員によってカバーするという余裕などはまったくないのが現状であろう.
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