特集 看護教育界今年の展望
看護教育界の脱皮はどこまで果たせるか
徳平 滋
1
1文部省大学病院課
pp.20-23
発行日 1966年1月1日
Published Date 1966/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905547
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はじめに
看護婦等の制度は,昭和20年の終戦によって格段の改革が加えられ,医療の一端を担う重要な専門分野の職業となり,その資格を得るに必要な教育内容も高められた。しかし,医学の進歩と国民の医療需要の増加に応じ得る近代的看護業務を行なうための看護婦等は,質的にも量的にも不足となり,この不足を充たすため養成教育を拡大すべきであるとの社会的要請が病院の設置者,医師,看護関係者,教育関係者および社会保障の関係者を中心として年々強くなってきた。この要請の内容は,養成施設を病院等に依存する従来の形態を改めて,学校教育法第1条の学校—いわゆる正規の学校—として学校教育体系にあわせて運営しその教育内容の水準を維持向上すると同時に学生にとっても魅力ある学校とすることによって,優秀な人材を大量に誘致して,質的量的に養成教育を拡大しようとすることと要約できよう。そしてこのことは,現在では看護関係者の一致した願望となっている。
この要請を実現し,発展させるためには,看護界の現状や,医療施設等の立場や教育制度との関係等多くの問題を解決していかなければならないであろう。また,明治以来の看護教育の歴史的背景から脱皮して新しい看護教育の理念を打ち立てることと,新しい看護婦を受け入れる素地を早急に培うことが必要である。
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