かたらい
看護学会の脱皮を試みよう
内野 角子
pp.125
発行日 1966年10月1日
Published Date 1966/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912915
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「志気阻喪しちゃうわ。また今年も落ちたんですって,支部から電話で知らせてきたけど。去年は支部段階での検討がよくされなかったというので今年は前もって院内でも支部でも発表会を持ったのに……。去年の誌上発表に続く第2報告なのにどうしてだめになったんでしょうね。婦長さんは何千人もの聴衆にわからせるような研究テーマでないからでもっとまとめ方を工夫しなくてはって言ってたけど……大会場で聞きやすいものであるべきだなんていう法はないわよねえ。—それなら少人数でもいいから深められるようにすればいいんじゃない。一体だれがどうやって審査するのかしら,何か月も前から抄録だけじゃなく全体のレポートもスライドも出させておいて全くいやになっちゃう。これからも第3,第4報告と連続していこうと張り切っているのに……。もっともあんな質問も出ない発表会じゃ誌上発表でも同じことだけどね。でもとにかく私たちのこんな試みが否定されたみたいで,挫折感が大きいわよ……」
卒業後5年を経て看護研究なるものに自分なりに手をつけはじめた仲間の一人が,一気にこう語った。
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