教育のひろば
〝人づくり〟から〝人間像〟へ
伊藤 昇
1
1津田塾大学
pp.1
発行日 1965年3月1日
Published Date 1965/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905421
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ことしの正月ほど,政治はおかしなもの,マスコミュニケーションは不思議なものと,改めて考えさせられたことはない。とくに,1月11日,中央教育審議会から発表された「期待される人間像」という中間草案をめぐって,つくづくとそういうことを考えさせられたのであった。
もう15年も前になるが,戦後の混乱からようやく立ち上ろうとするころ,当時の天野文部大臣が,「道徳教育は必要だ」といえば,なんとなくそういうものかと考える。池田さんが総理大臣になって,「人づくり」といえば,そんなものが必要だと思い,佐藤さんが「人間尊重の政治」といえば,なるほど,いままでは人間は尊重されていなかったのかと,こと新しく首をひねってみる。そして今度の「期待される人間像」が発表されると,ほう,それも悪いものではなかろうといったムードがつくられる。
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