現代のカルテ
期待される人間像
野口 肇
pp.48
発行日 1965年2月1日
Published Date 1965/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202922
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「期待される人間像」が発表され,広い方面の論議を呼んでいます.これは文部大臣の諮問機関である中央教育審議会の第19特別委員会(主査・高坂正顕ほか特別委員11名,臨時委員4名)がつくった中間草案で,できた動機は,2年まえ当時の荒木文相がいまの教育基本法は「抽象的で具体的なイメージがないから,‘日本人としての教育の目標’,を明らかにせよ」とこの委員会に立案をたのんだものです.
この「期待される人間像」について,平均年齢69歳の<オジさま>どもが硬い頭をつきあわせてコネあげたただの作文だとか,委員のなかに学者の古手ならとにかく大会社の社長が多すぎ入社試験むきだなど,カラカイめいた意見をあれこれききます.だがじつはただの作文ではない,ちかい将来これにもとづいて後期中等教育(高等学校)の指導要領ができ,教科書も書き改められようという性質の重要な文章なのです.しかも昨今のように高校教育がなかば以上も義務化されてくると,ますます軽視できない権威をもつことになります.
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