青年心理学講座・5
自分の部屋の中に
辰見 敏夫
1
1東京学芸大学
pp.51-54
発行日 1964年8月1日
Published Date 1964/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905340
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1.青年の部屋は閉じられている
中学の2年,3年生という青年期の入口でたいがいの親は,娘や息子に自分の部屋をくれ,造ってくれ,といわれて困惑する。場所的にも,経済的にも,親のいつでも子どもを見ていたいという気持においても,この要求は,あまり親にとってありがたいものではない。しかし,仲間の誰それだって,自分の部屋をもらったとか,自分の部屋がないので勉強できない,というようなことをいわれると,なんとかしうる親は無理をしても,部屋をつくってやる,ということになるし,どうしても無理であれば,カーテンで部屋を仕切って,子どもに部屋をつくってやる。
ところが,そういう子どもの部屋には鍵がかけられていて,親は中にはいることを許されない,いやのぞき見することすらできない,ということがしばしばおこってくる。
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