連載 カラーグラフ
なるほど人体—Human Body World・18
心臓の4つの部屋と弁
坂井 建雄
1
SAKAI TATSUO
1
1順天堂大学・医学部解剖学第一講座
pp.512-515
発行日 1997年6月1日
Published Date 1997/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905355
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心臓は,人間が生きている限り,休みなくはたらき続ける血液のポンプです.心臓から送り出された血液は,全身の血管を駆けめぐり,再び心臓に戻ってきます.古代ギリシャのアリストテレスという人は,人間の精神が心臓に宿ると考えました.運動したり緊張したときに,ドキドキと動悸し,落ち着いているときにはゆったりと脈打つ心臓のはたらきを見ていると,そこに心が宿ると考えたくなってしまいます.
本当のところは,心臓のはたらきは,血液を送り出すポンプです.ウイリアム・ハーヴィーというイギリスの医師が,1628年にそのことを証明しました.心臓のはたらきで血液が全身を循環するという血液循環の原理は,それ以来,医学の常識です.大人なら誰でも,いや中学生でも,そのことは知っています.
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