特集 現代の看護学生
実態調査にあらわれた看護学生
教務に対する赤裸々の批判書
守屋 博
1
1順天堂大学
pp.12-13
発行日 1964年7月1日
Published Date 1964/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905313
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最近,「看護学生」なる単行本を手にすることができた。書名から近頃流行の新書版的,随筆的看護学生論を想像していたのであるが,内容は全くかけ離れた,学生意欲の調査報告書であった。したがってこの書は学生自身や一般読者の読み物ではなくて,看護学院の開設者ないしは学院の専任教員の自己反省の資料として必読の書ということができる。アンケートの目指すところが現在の学院の教育方向またはその技術に向けられているからである。
現在われわれの病院管理の最大の問題点は,いかにして質のよい看護婦を大量に得るかの点にある。その点全く危期にあるといってよい。無論その原因は,看護婦の業務内容,社会的地位あるいはその待遇にあるとはいえ,一半は看護教育の制度ならびにそのあり方にあるといわねばならない。わが国の教育制度は一貫して6・3制に示されている如く,講義を中心に行なわれているので,看護学の如く実務を中心としなければならないものはその中心からはずされているのである。現に,今回の調査にあらわれた学院もすべて病院付属のものであり,予算についても教員についてもすべて親病院におんぶしている状態である。
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