教材 マスコミの話・4
(1)マス・コミはどうなる?/(2)マス・コミをどうするか?
美作 太郎
1
1新評論社
pp.43-47
発行日 1963年2月1日
Published Date 1963/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904334
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かがやかしい未来図
1962年7月10日,アメリカのケープカナベラルから,通信衛星テルスターが打ち上げられました。ケネディ大統領は,これについて,「まだほんの手はじめだが,すでに国際通信の新時代の展望をわれわれに与えている」と言いました。朝日新聞はその解説の中で「テルスター衛星の成功は,世界がもう一段と小さくなったことを意味している。ひとくちにいえば,『世界テレビ』の実現を示唆している。」と書きました(9月30日)。
このような通信衛星が実用化の段階にはいれば,それは宇宙テレビ中継局の役目を演ずることになり,「軌道をまわっているテルスターが大西洋上を通過する十数分間に,米大陸から発せられた電波信号はテルスターによって受信され,増幅され,発信され,それが欧洲大陸で受信される。逆の場合も成立つわけで,この結果,ヨーロッパの諸国民がニューヨークの国連総会をなまで見聞きし,米国民がパリでシャンソンを歌うイヴ・モンタンを楽しむ,ということが可能となった」わけです。(朝日新聞,同上)2年後の東京オリンピックもこうして全世界に放送される明るい見通しが生まれたことになります。
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