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「綜合医学賞」について
長谷川 泉
pp.150
発行日 1961年3月1日
Published Date 1961/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903999
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「綜合医学賞」というのは医学書院が賞金10万円を投じて,毎年優秀な医学論丈を顕彰しているものである。今年で10回になった。過日受賞者2名にその贈呈式をおこなった。
10回ともなると,どんな賞でもだんだんと権威がついてくる。受賞者のなかからすぐれた学者や有名な教授,助教授が輩出してくるからである。このことは芥川賞や直木賞などにおいても同様である。芥川賞や直木賞の受賞作家がぼんくらで一向に芽が出ないということならば,芥川賞や直木賞の権威は地におちてしまうのだが,そんなことはない。受賞作家で,消えて行ったり,うずもれた作家もないではないが,新進作家の登龍門として,この2賞は,現在十分その役割を果たしている。第1回の芥川賞受賞者は石川達三であったし,その時受賞を争ったのは太宰治と高見順であった。みな立派な作家となり,文学史に名前を残すような仕事をしたのである。
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