特集 看護教育と代替/補完療法―臨床・教育でどう実践されているか
マッサージと看護―人を癒す根源的な力
津田 昌樹
1
,
寺澤 捷年
2
1夢恵堂鍼灸院
2富山医科薬科大学和漢診療学講座
pp.666-673
発行日 1999年8月25日
Published Date 1999/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903843
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はじめに
誰でも身体のどこかに痛みや違和感を自覚すると自ずと手をその場所に当て,痛みや違和感を確認し,手を当てることで不快感を和らげようとする.また,身近に苦痛を訴える人がいれば手を差し伸べることもごく自然に行われることである.手を当てるという行為は原初の頃から行われてきた最初の治療行為である.このような行為が治療を意味する「手当て」という言葉の語源になったと考えられている.マッサージはこの「手当て」を起源とし,当初は自己や家族を対象として行われ,その後,様々な過程を経て,現代の形にまで発展してきた.
一方,看護においても古来より「手の温もり」が看護者の母性や優しさの象徴であるとされているように,人を癒す根源的な力を持っている「手当て」が行われてきた.そこで古来から育まれてきた知恵であるマッサージの理論やテクニックを活用することで,より効果的で心のかよった看護が行えるのではないかと考え,東洋医学的視点から臨床看護におけるマッサージについて解説する.
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