連載 看護基礎教育において「安全」をどう学ばせるか・1【新連載】
「看護安全学」の授業の組立
松下 由美子
1
1山梨県立看護大学
pp.282-285
発行日 2002年4月25日
Published Date 2002/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903182
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はじめに
医療事故を減少させるために,組織的な取り組みが始まっている.このような動きの中で,看護基礎教育は何を担うべきであろうか.
従来の看護基礎教育のカリキュラムでは,「安全」を体系的に取り上げてこなかったのが実態であろう.看護基礎教育機関316校を対象とした恩田の調査1)では,看護事故に関する授業を実施しているのは266校(84.2%)であり,実施時間数は5時間前後,講義内容は,①事例を用いた授業,②事故の予見・回避のための対策,③事故発生時の連絡ルート,④訴訟時の対処策,などにとどまっている.丸山ら2)は,「看護・医療における事故防止のための看護基礎教育に関する研究」を意欲的に行っており,その報告書のなかで「看護安全学」のカリキュラム上への位置づけを提唱している.医学・歯学教育においては,コアカリキュラムの導入が推奨されているところであり,すでにカリキュラムのモデルが示されている3,4).これらのカリキュラムにおいても,6年間の教育期間を通じて身につけるべき最も重要な,患者中心の医療を展開するための基本事項のひとつとして,「安全の確保」が位置づけられている.
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