特集 援助とは何か
援助職(Helping profession)としての看護
勝野 とわ子
1
1東京都立保健科学大学
pp.189-192
発行日 2001年3月25日
Published Date 2001/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902462
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はじめに
看護者が専門的な援助職であることに異論を唱える方は,ほとんどいないのではないだろうか.近年,日本において専門職としての看護は,看護診断およびヘルスアセスメント教育の導入により強調されている.しかし,援助職としての看護は,それが当然と考えられているためか,議論に上ることが少ないようである.
アメリカに留学中,私は企業の日本人駐在員の妻としてアメリカに住んでいる方に,アメリカでの保健医療サービスの利用についてインタビューしたことがある.今でも鮮明に覚えているのは,言葉が不自由にもかかわらず,「アメリカの看護婦さんは日本の看護婦さんより親切です」と言われたことである.私は,日本の看護教育では,優しさ,献身という価値が強調されているので,内心反対の答えを期待していたのだった.アメリカでは,看護職をはじめ,人にサービスすることを職業とする人々は,サービスを求めている人に会うと必ず,“What can I help you?何かお手伝いできますか”か“How can I help you?どのようなことでお役に立てますか”,と問いかける.文化の違いはあるものの,単刀直入に対象者が何を求めているのかを知り,援助しようとする姿勢が見られる.この姿勢が援助を受ける人に安心感をもたらし,感謝の気持ちすら抱かせるのかもしれない.
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