視点
援助職が受ける暴言・暴力とバーンアウト
中板 育美
1
1武蔵野大学看護学部
pp.352-353
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209398
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保健・医療・福祉の立場で対人支援に関わる私たちは,住民・患者の人権を尊重し,権利を擁護することを心掛けています.一方で,権利をはき違えた主張や,住民からの理不尽な訴えが暴言や暴力という形で現れる場面に出くわすことも少なくはありません.感染症発生時や災害時,虐待対応時など,恐怖体験や窮地に追い込まれたときに,怒りのはけ口が行政に向けられることは,経験上理解できます.しかし,相談動機を自覚しない住民でも,私たちが健康支援のニーズが極めて高いと判断すれば,情報が少ないまま家庭訪問せざるを得ない状況も少なくなく,このような場面で暴力被害に遭うことがあります.海外に目を向けても,命に別状はない程度の暴力,脅しやストーカー行為などの心理的暴力に該当する被害が多いことも示されています〔国際労働機関(ILO),米国労働安全衛生局による〕.
援助職が受ける暴言・暴力(workplace violence:WPV)は,援助者としての身体のみならず自尊心を傷付け,役割継続に影響を与え,燃え尽き症候群(burnout syndrome:BOS)や離職を助長するという点で着目したい課題です.本稿では,援助職の確保策が困難になる中,援助者が受けるWPVへの対応とBOSの予防策について考えます.
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