Scramble Zone
わが国のフィジカルアセスメント教育の実態―平成11年度全国調査の結果より
太田 勝正
1
,
加藤 あさか
2
,
八尋 道子
1
,
真弓 尚也
1
1長野県看護大学
2岐阜県串原村健康総合センター
pp.1060-1065
発行日 2000年12月25日
Published Date 2000/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902416
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はじめに
高齢社会を迎え,病院から在宅へ看護の場がますます拡大されてきた(横山ら,1997)中,1人で家庭訪問を行うなど,看護婦が患者管理に関して大きな責任を担う場面が増加してきている(森山,1994).その一方で,医療の高度化に伴う入院患者の重症化は進み,また,与えられる医療・ケアから患者自身による質の高い医療・ケアの選択へと,看護・医療を取り巻く環境は大きく変化しており,看護職はより高い能力・資質を求められるようになってきた.
日野原(1998)は,患者側の医学知識の増大に関連して,「看護診断で看護上の問題を解決するだけでなく,病気のアセスメントまでしないと,ナースの出る幕は次第になくなります」と,看護婦の診断能力の重要性を提示している.このような状況で,より質の高い看護を提供するためは,看護婦は患者の心理・社会的な側面のみならず,患者の身体面についても必要な情報を得てアセスメントを行い,きちんとした目的や根拠をもって看護を提供していくことが不可欠であると考える.このような身体面についてのアセスメント手法の1つとして「視診・触診・打診・聴診などの技術により系統的に患者の全身所見を得て,健康状態,健康問題を明らかにする」(横山ら,1997)フィジカルアセスメントがある.近年,臨床看護の現場からその重要性が問われるとともに,看護系大学等の教育機関においても,徐々に体系的な教育が提供されるようになってきた(原田,1998,横山ら,1997,横田,1994,深井ら,2000a,b).
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