特別寄稿
女子学生が身をもって発するSOS―摂食異常症の患者さんから教えられたこと
鈴木 眞理
1
,
高野 加寿恵
1
1東京女子医科大学・内科
pp.994-1005
発行日 1999年11月30日
Published Date 1999/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902166
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はじめに
内分泌内科を,多くの神経性食欲不振症(俗に拒食症)の患者さんが,激やせや無月経が何らかのホルモンの病気ではないかと考えて受診されます.診断がつけば,心理的な原因で発病する疾患なので,心療内科や精神科を受診することが適切です.しかし,たいていの心療内科は予約が数か月先です.また,患者さんや家族が精神科への受診を拒んだり,あまりのやせや栄養状態の悪さのために精神科では身体的治療ができず内科に戻されることがあります.そんな訳で必要に迫られてこの病気とお付き合いするようになりました.1988(昭和63)年から摂食異常症の専門外来を開設し,とうとう登録外来患者数が500人を越えました.
ここ20年間に,この病気と神経性過食症(合わせて中枢性摂食異常症と呼びます)の患者さんは欧米諸国の後を追うように増加し,現在都内の女子高校生と大学生の1%が神経性食欲不振症に,2-3%が神経性過食症に罹患しているという事態になりました.校医を勤める都内の短期大学や4年制大学でも,患者数の増加に伴い,その対応が問題になっています.これは,看護学校や看護大学,また若い看護婦の多い医療機関でも同じ現象だと考えられます.
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