特集 わかる授業の技術
―生命倫理―学生をひきつける一般科目に
小松 奈美子
1
1日本赤十字看護大学
pp.752-756
発行日 1999年10月25日
Published Date 1999/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902126
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看護学生のための一般科目
今から30数年前,筆者は女子大の哲学科に入学した.哲学に興味があったからである.高校時代はいつも“生と死”について考えていた.寝床のなかで“死”について勝手に悩んでは眠れない夜を過ごしていた.死の問題が解決されなければ生きる問題も解決されないし,自分自身の存在意義も見いだせないと思っていた.
何十億年にも及ぶ地球上の生物の営みの中でのほんの一瞬の出来事にすぎない自分自身の人生,死とともに消え去っていく自分自身の存在に対して言いようのない空しさを感じていた.以前ベストセラーになった『ソフィーの世界』1)の主人公ソフィーは「あなたはだれ?」という哲学的課題をまず最初に突きつけられたが,それと同じように筆者も「いったい私という存在は何?」という問いをいつも自分に突きつけて悩んでいた.そして,そういう悩みに対して何らかの指針を与えてくれることを期待して哲学科にすすんだ.
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