特集 生涯人間発達学入門―人間への深い理解と愛情をもった看護者を育てるために
成人前期(20~30歳)
服部 祥子
1
1大阪府立看護大学
pp.630-634
発行日 1998年8月25日
Published Date 1998/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901887
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親密性 対 孤立
成人前期の発達危機
成熟への入口
成人式.一人前の人間としての承認の儀式.社会は若い成人の誕生に祝福を送り,社会のメンバーの一員として迎え入れる.しかし成人への旅立ちは発達の終点ではなく,実は本当の成熟へ向かう入口であり,門出なのである.だからこそ,これからもなお人間は,成熟を深めていかねばならない.
人間の発達を段階的にとらえるエリクソンの理論のユニークさの1つに,先にも述べた通り,発達を人生全体に拡大して考える視点がある.彼は人生周期(ライフ・サイクル)という語を用いて,出生から死までを8つの時期に分け,統合的な人格の完成は一生を通じて行われると考えた.すなわち今まで述べてきた乳児期,幼児前期,幼児後期,児童期,青年期の5つの人生周期の上に,成人前期,成人中期,成人後期という3つの階層を加えているわけである.
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