連載 公衆衛生学―見方を変えたら・11(最終回)
人間ドック
清水 英佑
1
1東京慈恵会医科大学環境保健医学教室
pp.233
発行日 1998年3月25日
Published Date 1998/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901802
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長い航海を終えた船が次の航海に備えて“ドック入り”することになぞらえて,一見健康な状態で生活している人が,何らかの潜在疾患をもっていないかを,ある時期に入院して精密検査を受けることを“人間ドック”と呼んでいる.
今日では当たり前の言葉となっているこの和製用語も,その歴史を振り返ると以外に古いのに驚く.そもそも,1937(昭和12)年に,当時の民政党の2人の代議士が東大の坂口内科に入院したとき,2人の会話に“人間ドック”という言葉がでたのをもって嚆矢とされる.当時は1週間入院し,徹底的な精密検査が行われたようである.この1週間は多忙な毎日から隔離され,こよなき休息の機会でもあったので,比較的富裕な階級が利用していたという.
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