連載 南島詩人一人舞台・2
法螺を吹く
平田 大一
pp.90-91
発行日 1998年2月25日
Published Date 1998/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901773
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沖縄の俳句の世界では、「キビの花」は冬の季語であるらしい。
島の赫土の畑に銀色のキビの花が咲き、風に揺れる沖縄の冬の季節、小浜島は、黒砂糖の甘ったるい濃厚な香りにすっぽりとつつまれている。島の製糖工場は一月から三月までの約三か月間しか操業しない。しかし二四時間休むことなく働きつづける工場とは裏腹に、毎年サトウキビの生産量は減る一方だ。キビ生産者の老齢化とともに、若者の離農現象は、予想以上にこの島の背骨でもある黒砂糖作りにおいて深刻だ。
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