連載 「准看報告書」以後の看護教育制度をめぐって・6
職業としての看護と准看護婦問題―社会学の視点から
柄澤 行雄
1
1常磐大学人間科学部
pp.735-739
発行日 1997年10月25日
Published Date 1997/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901685
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はじめに
看護職の社会的評価
ここに約25年の間隔をおいて行なわれた2つの調査結果がある.1つは1970年に天野正子氏が都内の看護婦を対象に行なったもの1),いま1つは橋本和孝氏らによる福島県の看護婦(准看護婦を含む)を対象とした1994年と1995年の調査である2,3).その中で看護婦の専門職としての社会的評価について,天野調査では67.5%の対象者が社会的評価を「もたない」と回答し,橋本調査では78.1%,65.3%が評価「されていない」と回答している.これらの調査は,対象者や質問方法などが同一ではないために,単純な比較はできないが,それでも大方の看護婦.准看護婦は自分たちが専門職としての社会的評価がなされていないと認識している点においては共通している.つまり,この25年,看護職の社会的評価はいっこうに高まっていないと考えられる.またこれとは別に,さまざまな職業の社会的評価の全国調査をみても,看護職に対する社会的評価は次にみるようにけっして高くはない.
日本では,医療従事者の中で,昔から医師の社会的評価は非常に高かった.日本社会学会は1955年より日本人の職業に対する社会的評価の全国的な調査をしているが,それによれば,医師は常に最高位クラスの地位を得ている.
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