看護教育新カリキュラムを追って・12
新カリキュラムにおける基礎分野の位置づけ―「人間と人間生活の理解」を中心にして
小松 奈美子
1
1日本赤十字看護大学
pp.1130-1133
発行日 1996年12月25日
Published Date 1996/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901521
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はじめに
1997年4月施行の看護教育新カリキュラムでは,幅広く深い教養と豊かな人間性を養うことが重視されている.基礎分野においても,これまでの人文科学・社会科学・自然科学の枠組みが撤廃され「科学的思考の基盤」と「人間と人間生活の理解」の2分野が設定された.どちらの分野も重要であるが,筆者が現場の先生方といろいろ話してみた限りでは,「科学的思考の基盤」についての科目設定や講師選択は比較的容易であるが,「人間と人間生活の理解」に関しては,具体的にどのような科目を設定し,どのような先生に,どのような内容の講義を依頼したらいいのか迷ってしまうという悩みをよく耳にする.「人間と人間生活の理解」といわれても,漠然としていてとらえどころがないというのが実感のようである.つまり,学校側としては「将来医療現場で役立つような形での人間性の陶冶をめざしたい」という抽象的な理念はもっているのだが,具体的なプランはなかなか浮かんでこないということである.
そこで本稿では,N看護大学で1996年度前期(1年対象)に筆者が行なった「哲学」の授業を引用しながら,新カリキュラムにおける基礎分野の位置づけを「人間と人間生活の理解」の分野を中心として考察する.しかし,その際問題になるのが看護学生の人間性の特質であろう.そこで,まず,筆者が最近出会ったある若者のケースを紹介し,看護学生との比較を試みたい.
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