特集 寒さ
寒さと人間生活
庄司 光
1
1大阪市立大学
pp.69-72
発行日 1958年2月15日
Published Date 1958/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910546
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寒さは身体にとつて暑さと同じように大きな影響を持つが,寒さは重ね着をして防げる点が暑さよりはよい。寒冷に出合うと戦懆が起り,熱の産生は基礎代謝時の2〜3倍にもなる。運動をすれば熱産生は10倍にもなり,一時的には一層低温にも耐えられる。しかし長時間寒冷に曝されていれば防寒服をつけていないかぎり体温が次第に低下する。これは体熱の産生の増加が体熱放散の速さに追つけないためである。
極端に低温の水の中に入ると直腸温が急激に下るが,体温が11〜12℃も低下すると一時間以内に死んでしまう。最近の研究の結果では寒さで凍えた人を50℃の熱い湯の中に入れる方が除々に温めるよりよいと。5℃の水の中に入つて直腸温が25℃まで低下した人を40〜50℃の中で10分間温め毛布にくるんでおいた結果,2時間内に正常な温度にもどつたという報告もある。
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