講義ノート 新しい在宅看護論精神看護学
人間関係論としての精神看護学
1 精神の健康と精神看護学
武井 麻子
1
1日本赤十字看護大学
pp.1024-1033
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901508
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精神の「健康」と「障害」
人間の精神が健康であるとは,どういうことなのだろうか.悩みがあるのは不健康なのだろうか.おかしなことをいったりやったりしなければよいのだろうか.鍵をきちんとかけたか,アイロンのコンセントを抜いたかと気にするのは,異常だろうか,正常だろうか.クラスの友人が自分を嫌っているような気がするときは?もし,一晩じゅう眠れなかったら…?
このように,「こころ」を悩ます出来事を思い浮かべることは難しいことではない.まったく悩みや気がかりがないという人は少ないのではないだろうか.気分の落ち込みは誰でも体験することだろうし,「アタマがヘンになりそう」と思うことだってあるだろう.理解して欲しい人に理解してもらえないとき,親しい友人と別れたとき,試験に失敗したとき,挫折したとき,わたしたちは多かれ少なかれ,「オカシク」なる.むしろ,「オカシク」ならない方が「ヘン」かもしれない.
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