特別講義
老人看護と老人医療に夜明けはあるのだろうか
並河 正晃
1
1京都桂病院内科
pp.210-216
発行日 1993年3月25日
Published Date 1993/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900549
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はじめに
老年者に対する看護も医療も暗闇の中にある.ヒトの歴史とともに老年者の存在は,常にどこにもあったはずである.しかし,科学の対象としてとらえられるべき老年者は,まるで水族館のガラスの向こうに見える魚のように,どの時代にも若者たちによく見えている存在であるが,ガラスの向こうから発せられるメッセージは,若者たちの耳にはほとんど届かないし,聴く耳も持たぬことが多い状況が続いている.
しかし,高齢化社会が日一日と進む中にあって,老年者の実態の把握と理解は,若者たち1人1人にとっても身近に迫った自分自身についての問題であり,だれ1人として避けて通ることのできないことである.
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