EXTRA LECTURE
芝居をみる楽しみ,演ずる楽しさ
中山 浄
1
1東邦大学医療短期大学
pp.554-558
発行日 1991年9月25日
Published Date 1991/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900255
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グルジア劇団との出会い
それはさながら地鳴りのようであった.遠い所から始めはごく低く小さくつぶやくが如く,段々と大きく強く,そして高らかに響きわたって,ついに私は魂を揺すぶられた.
4月下旬,はるばると初訪日し,渋谷PARCO劇場で公演したグルジア国立マルジャニシビリ劇場の人たちのコーラスは見事であった.10年近く前に制作,発表された近松門左衛門の代表作『心中天網島』―男の主人公が紙屋治兵衛であることから略していわゆる『紙治』として脚色,演出されていることで有名―と現代劇『崩壊』『ある地方の物語』3本をもって,ソビエト連邦からの独立を主張しているグルジア共和国の首都トビリシ(かつてはチフィリスと言われた古い文明都市)から,この劇団は総勢約40余名でやってきた.セリフはグルジア語だが,劇団の人はもちろんロシア語を習得している.うわさにはきいていたが,実際の舞台をみるのは私も初めてであった.
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