実践報告
看護学生のアセスメント能力向上をめざした紙上事例用模擬電子カルテ作成のプロセス―宮崎県立看護大学成人看護学領域における取り組み
上富 史子
1
,
久野 暢子
1
,
矢野 朋実
1
,
山岡 深雪
1
,
川西 幸広
1
1宮崎県立看護大学看護学部
pp.622-626
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202159
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はじめに
看護学における臨地実習は、学生が受け持ち対象に対する看護過程を展開しながら自己の看護アセスメント能力向上をめざす過程として重要である。看護アセスメント能力は、専門的知識や過去の経験を有効活用しながら、対象の情報をプロセスのなかで繰り返し、収集し、見極め、推論したことを表現する能力1)とされている。看護の初学者である学生にとっては、過去の経験がないことに加え、看護アセスメント能力を育成している段階であるため、対象とかかわりながらの情報収集や重要な情報の見極めに難しさを感じやすいと推測する。特に、電子カルテからの情報収集においては、学生は膨大な量の文字・画像データから対象像を描くために、必要な情報を取捨選択することから始めなければならない。したがって、学生の看護アセスメント能力向上の1つには、学生が目的をもった情報収集を行い、情報を見極める能力を身につける必要があると考える。
本稿は、宮崎県立看護大学(以下、本学)成人看護学領域での学内実習において、学生の看護アセスメント能力向上をめざした2事例の紙上事例用模擬電子カルテを作成したプロセスを記すものである。今後、学内演習などで紙上事例を設定する、あるいは作成する際の一助となれば幸いである。
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