連載 「食べたい」をめぐって・7
「食べたい」は混線する
太田 充胤
pp.974-975
発行日 2020年10月25日
Published Date 2020/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201597
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よく冷えたビールと体の声
蒸し暑い夏の日。仕事が終わり、喉が渇いていることを思い出す。帰り道を歩きながら、よく冷えたビールでも飲もうかという気分になっている。
この気分がまったく理にかなっていないことは、ちょうど20歳になったころに生理学の授業で学んだ。アルコールは抗利尿ホルモンの分泌を抑制し、利尿を促す作用がある。ジョッキいっぱいのビールを摂取しても、それを上回る量の水分が尿として排泄されるので、結果として体液量バランスはマイナスに傾く。授業の最後には、酩酊患者では脱水の存在を考慮すべし、という臨床的なアドバイスに加えて、みなさんも気をつけましょうね、という大変ありがたい教訓が示された。
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