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はじめに
本稿では、障害を持ちながら看護師をめざし学んでいる学生たちへの臨地実習における支援の事例として、アイルランドの国立大学ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン(University College Dublin:UCD)の看護・助産コースで実施されている組織的・体系的な支援のあり方を簡単にご紹介いたしたく存じます。同大学の実習支援ガイド(約80頁)、実習時のニードのアセスメント書式(約30頁)などは、英文ではありますがネット上から入手できます。そこに支援対象として記されている障害・疾患の数や、列記されている合理的配慮のボリューム(15頁、16分類の障害・疾患)、各種支援の流れの図表だけを見ても、みなさんの印象に残るものであると思います。
筆者は看護教育、看護研究に携わる者ではないことをここでお断りしておきます。ひとことでご説明できなくて申し訳ないのですが、実のところ患者歴のほうが看護師歴よりはるかに長く、自分で言うのもなんですが、属性やら経歴やら、かなり多様性に富んだ……というか多重マイノリティーのナースです1)。そのため、本稿も“普通”の看護師の方々とはかなり異なった視点から書く記事になるかもしれませんが、読者のみなさんにはぜひ、これもダイバーシティーのもたらす果実(かもしれない)と思いつつ味わっていただければうれしく思います。
なお、本稿でご紹介するUCDの取り組みについては、筆者が障害者手帳を持つ看護師になってから知った米国の障害者看護師・看護学生支援サイト(www.ExceptionalNurse.com)の創立者で、関連書籍4冊2〜5)の編著者でもある看護教育者のDonna C. Maheady博士からご教示いただきました。
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