特集 VR/AR/MR 教育への応用最前線
VR/ARを用いた2つの教育利用研究―空間認識の支援と体験的な活動における活用
瀬戸崎 典夫
1
1長崎大学教育学部
pp.12-18
発行日 2019年1月25日
Published Date 2019/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201153
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はじめに
近年の情報技術の目覚ましい発展にともない、高速処理技術・高精細グラフィックスを搭載したPCが比較的安価になってきました。また、多種多様なHMD(Head Mounted Display)の販売や、3次元空間の位置を正確にトラッキングできる技術の進展により、VRやARはわれわれにとって、より身近なものとなってきたように思われます。
数年前までは、大学講義において「VRやARを知っている?」の質問に、1割にも満たない数名の学生しか手を挙げませんでしたが、最近では半数以上の手が挙がるようになりました。また、講義課題としてのコメント入力や、講義資料の閲覧にスマートフォンを使用している学生たちを見ると、ここ数年でも随分と学びの形態が変わってきたように感じます。2016年がVR元年であるとも言われていますが、まさにデジタルネイティブな学生たちに対して、VRやARの技術を活用することによる、新たな教育方法を考えていくときかもしれません。
われわれの研究グループでは、2006年頃からVR技術の効果的な教育利用について探求してきました。その1つのアプローチは、学習者の空間認識の支援という観点です。また、もう1つのアプローチは、実際にその場にいるような臨場感から得られる体験的な学習の提供です。本稿では、それぞれの研究の概要と成果を中心に、VR・ARの教育利用についてご紹介します。なお、今回ご紹介する題材は、看護に直接関係するものではありませんが、現在の教育現場における事例として見ていただければと思います。
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