特別記事
わが国初の看護学速習プログラム(学士3年次編入)の報告
齋藤 あや
1
,
下田 佳奈
1
,
川端 愛
1
,
堀内 成子
1
1聖路加国際大学 大学院看護学研究科
pp.906-910
発行日 2018年10月25日
Published Date 2018/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201102
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大学を卒業した看護職志望者の増加
高齢化社会の進行と地域医療システムの拡大などにより,看護専門職の人材不足に拍車がかかっている。一方で,終身雇用制度の見直しや非正規雇用の不安定さが指摘され,比較的安定した需要が見込まれる看護師職への関心が増えてきた。現在,看護師学校(3年課程)入学者の内,大卒者は7─8%であり,毎年2000人以上を超える入学者がいる1)。また,准看護師学校に入学する者は,それより入学者に占める割合が高く,8─9%である。この2つの数字は,大学卒業後に看護の道を志す者が,入学者のうち毎年約1割弱,存在することを表している。彼らは看護学以外の他分野の学士号をもち,職業経験を経たのちに,セカンドキャリアとして看護学を選んでいる。職業選択が,高校卒業時ではなく,大学卒業後にも挑戦する時期が,平均余命の延長とともに到来し,職業人生が多様な時代を迎えている。
奥(2012)2)によれば,他分野の学士号をもつ看護学生の特徴として,以前の大学で学んだことについて「看護職になったときに役に立つ」「看護とは関係がある」と考えていたものは,看護系大学に通うものであり,逆に「自分は遠回りした」と思うものは,准看護師養成所に入学したものだった。このことからも,大学教育において学士編入制度を行うことは大いに意義があると考える。
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